オフィスや家庭で日々発生する大量の書類。すべてをシュレッダーにかけていては時間も労力も無駄になってしまいます。本記事では、「シュレッダーしないで捨てる」ことができる書類の判断基準と、セキュリティを保ちながら効率的に書類を処分する方法について詳しく解説します。
目次
書類処分の基本原則

書類処分において最も重要なのは、個人情報や機密情報の保護です。以下の基本原則に従って判断を行いましょう。
判断の4つのポイント
- 個人を特定できる情報があるか
- 氏名、住所、電話番号、メールアドレス
- 身分証明書番号、保険証番号
- 銀行口座情報、クレジットカード情報
- 機密性の高い情報があるか
- 企業の内部情報、顧客情報
- 契約内容、財務情報
- 技術的な仕様や特許情報
- 法的保管義務があるか
- 税務関連書類(7年間保管義務)
- 労務関連書類(3年間保管義務)
- 契約書類(契約期間+一定期間)
- 第三者に悪用される可能性があるか
- なりすましの材料になる情報
- 不正アクセスの手がかりになる情報
シュレッダーが必要な書類
以下の書類は必ずシュレッダーにかけて処分しましょう。
金融関連書類
- 銀行通帳、取引明細書
- クレジットカード明細
- ローン契約書、保険証券
- 投資関連書類、証券取引明細
個人情報関連書類
- 履歴書、職務経歴書
- 健康診断書、医療関連書類
- 身分証明書のコピー
- 住民票、戸籍謄本
企業機密書類
- 顧客リスト、取引先情報
- 財務諸表、予算書
- 人事評価表、給与明細
- 技術仕様書、設計図
契約・法務書類
- 各種契約書
- 不動産関連書類
- 特許・商標関連書類
- 訴訟関連書類
シュレッダーしないで捨てられる書類
以下の書類は、個人情報や機密情報が含まれていない場合、**通常の廃棄方法で処分可能**です。
一般的な印刷物
- 新聞、雑誌、書籍
- 商品カタログ、パンフレット
- 一般的な案内文書
- 取扱説明書(個人情報記載なし)
宣伝・広告物
- ダイレクトメール(宛名シールを除去済み)
- チラシ、フライヤー
- 展示会資料(非機密)
- セミナー配布資料(一般向け)
期限切れ書類
- 有効期限切れの割引券(個人情報なし)
- 古いメニュー表
- 過去のイベント案内
- 一般的な価格表
学習・参考資料
- 一般的な研修資料
- 公開されている技術資料
- 教育用プリント(個人情報なし)
- 参考文献、コピー資料
判断に迷う書類の対処法
書類の処分方法に迷った場合は、以下の手順で判断しましょう。
ステップ1:詳細チェック
- 書類の表裏両面を確認
- 付箋やメモ書きも含めてチェック
- ファイル名や管理番号も確認
ステップ2:情報の分類
情報の種類 | 処分方法 |
---|---|
個人を特定できる情報あり | シュレッダー必須 |
企業の機密情報あり | シュレッダー必須 |
一般的な情報のみ | 通常廃棄可能 |
判断が困難 | 上司・責任者に相談 |
ステップ3:保管期間の確認
- 法的保管義務の有無を確認
- 社内規定での保管期間をチェック
- 期間経過後に適切に処分
ステップ4:最終判断
迷った場合は安全側に判断し、シュレッダーにかけることを推奨します。
企業における書類処分ガイドライン

社内ルールの策定
企業では、統一的な書類処分ルールを策定することが重要です。
基本方針の設定
- 情報セキュリティポリシーとの整合性
- 法的要求事項の遵守
- 環境配慮の観点も含める
- 従業員への教育・啓発
分類基準の明確化
- 機密レベル1(極秘):必ずシュレッダー、立会い処分
- 機密レベル2(社外秘):シュレッダー処分
- 機密レベル3(社内限り):シュレッダー推奨
- 公開情報:通常廃棄可能
処分手順の標準化
- 事前分類:書類作成時に機密レベルを設定
- 定期見直し:保管期間の定期的な確認
- 承認プロセス:重要書類の処分時は上司承認
- 記録管理:処分履歴の記録・保管
法的観点からの注意事項
個人情報保護法への対応
個人情報を含む書類の処分は、個人情報保護法に基づいて適切に行う必要があります。
対象となる個人情報
- 氏名、生年月日、性別
- 住所、電話番号、メールアドレス
- 職業、勤務先、学歴
- 顔写真、指紋、音声記録
安全管理措置
- 物理的安全管理措置の実施
- 技術的安全管理措置の導入
- 人的安全管理措置の徹底
- 組織的安全管理措置の構築
業界固有の規制
金融業界
- 金融商品取引法による記録保存義務
- 銀行法による帳簿保存義務
- マネーロンダリング防止法への対応
医療業界
- 医師法による診療録保存義務
- 薬事法による記録保存義務
- 個人情報保護法の特別な配慮
教育業界
- 学校教育法による指導要録保存義務
- 児童・生徒の個人情報の特別な保護
環境に配慮した処分方法
リサイクルの促進
シュレッダーしないで捨てられる書類は、できる限りリサイクルに回しましょう。
古紙回収のポイント
- 種類別の分別(上質紙、新聞紙、雑誌類)
- 異物の除去(ホチキス、クリップ等)
- 汚れや破損の少ない状態での回収
- 地域の回収ルールに従った排出
デジタル化の推進
紙の使用量自体を減らすことも重要な環境配慮です。
ペーパーレス化の取り組み
- 電子ファイルでの文書管理
- デジタル署名・電子印鑑の活用
- クラウドストレージの利用
- タブレット・スマートフォンでの閲覧
実践的なチェックリスト
日常業務で使えるチェックリスト
書類を処分する前に、以下の項目をチェックしましょう。
基本チェック項目
- 個人名が記載されていないか
- 住所・連絡先が記載されていないか
- 金融機関情報が記載されていないか
- 企業の機密情報が含まれていないか
- 法的保管期間が経過しているか
詳細チェック項目
- 裏面や余白にメモがないか
- 付箋や手書き情報がないか
- ファイル名や管理番号から情報が特定できないか
- 他の書類と組み合わせて情報漏洩のリスクがないか
月次・年次の見直し作業
定期的な書類整理を行い、適切な処分を実施しましょう。
月次作業
- 不要書類の洗い出し
- 保管期間の確認
- 処分対象書類の分類
年次作業
- 処分ルールの見直し
- 従業員への再教育
- システム・手順の改善
トラブル事例と対策

よくあるトラブル事例
事例1:誤って重要書類を通常廃棄
- 原因:分類基準の理解不足
- 対策:定期的な教育・研修の実施
事例2:個人情報の漏洩
- 原因:チェック不足による見落とし
- 対策:ダブルチェック体制の構築
事例3:法的保管期間中の誤処分
- 原因:保管期間の管理不備
- 対策:文書管理システムの導入
予防策
- 教育・研修の充実:定期的な社内研修の実施
- チェック体制の強化:複数人によるチェック
- システム化:文書管理システムの活用
- 監査の実施:定期的な処分状況の監査
まとめ
「シュレッダーしないで捨てる」書類の適切な判断は、情報セキュリティと業務効率性のバランスを取る重要な業務です。以下のポイントを押さえて、適切な書類処分を行いましょう。
重要なポイント
- 個人情報・機密情報の有無が最重要判断基準
- 迷った場合は安全側(シュレッダー)に判断
- 法的保管義務の確認を怠らない
- 環境配慮も考慮したリサイクル促進
- 定期的な教育・研修による意識向上
今後の取り組み
- デジタル化による紙文書の削減
- AIを活用した自動分類システムの導入
- より効率的な文書管理手法の検討
- 持続可能な事業運営への貢献
適切な書類処分により、情報セキュリティを保ちながら業務効率を向上させ、環境にも配慮した組織運営を実現しましょう。